2015/04/05

財布とiPhone



 このひと月のあいだに買った物と言えば、新しい財布とiPhone。ツモリ・チサトの財布はぼくの人生で初めての長財布となった。金色の華奢な留め金やがま口が、ぼくにはもったいない。ぼくの新しいグリンゴッツとして活躍してくれることを願う。
 高校時代から7年間使ってきた旧式折りたたみ携帯電話から、最新式のiPhoneへの切り替えはぼくにとって産業革命のようなものである。とは言えiPod touchやiPadといった機器は使っていたから、そこまで新鮮さはない。しかし、出先で全てのメッセージを確認できることは大きいし、今更ながらインスタグラムの「自分の生活を自分が望んだように切り取る」機能にやられてしまった。iOS版のゲーム「グランド・セフト・オート」にも夢中である。ただ、あまりにもいろいろな機能があってこれが電話という実感が未だに沸かない。これを買った翌日も、果たして前日まで使っていた古い携帯電話を持って外出しないで大丈夫だろうか、と少し不安になった。iPhoneは事務的な電話機というイメージとはほど遠く、むしろ仕事に使うには不謹慎に感じるくらいである。世の中はだんだんオモチャ化しているのだろうか。
 iPhoneと言えば、度々ボディや画面に亀裂の入った物を使っている人を見かける。一体どういう扱い方をしたらあんなふうになるのか疑問だけれど、どうやらiPhoneはカバーやケースを装着するのが一般的らしい。裸で持つのが一番かっこいいと思うのだが、やはりそれは恐いのでカバーを着けることに。アップルの頭の良い人達が一生懸命考えたデザインもすっかり台無しである。
 「スター・ウォーズ」のiPhoneケースを探したがどれもイマイチなものばかり。単純に映画劇中の写真かなんかをプラスチック面にプリントしてくれればいいのに、やれ和風のアレンジだの、妙なイラストにアレンジしたものだの、これを「スタ―・ウォーズ」が好きな人が着けるのだろうかと首をひねりたくなるものばかり。その中でもシンプルにロゴだけあしらったものが一番まともで無難なので、探したところ、なんとロゴがプリントされているというよりはロゴそのものがカバーになっているのを見つけた。前からぼくはシリコンで出来た、iPhone本体に対してやたらとデカく変わった形をしたカバーに憧れを抱いていて、敬意を込めて「頭の悪そうなiPhone」と呼んでいた。ぼくも頭の悪そうなiPhoneを持ちたい。ということで「スタ―・ウォーズ」の特大ロゴ型カバーを候補に入れた。また、これは大分趣向が変わるが、マーク・バイ・マーク・ジェイコブスのピカピカのiPhoneケースも少し欲しかった。どっちにしようかなあと迷っていたが、二日後くらいに家に帰ると机の上に件の「スタ―・ウォーズ」のカバーが置かれていた。妻が買っておいてくれたらしい。それならもうこれに決めるしかなかろう。大きくて持ちにくそうで、これでぼくのiPhoneも頭の悪そうなポップさを持てるというものだ。一方、ぼくと一緒にiPhone6に切り替えた妻も自分用の新しいケースを買ったらしく、なにを買ったのかと尋ねると、これがマーク・ジェイコブスのピカピカケースだった。うーん。まあいいか。