2015年5月11日

富山・高岡ドラえもんツアー


 聖地巡礼っていうやつ、初めてかも。ドラえもニストな妻から聞かされるまで藤子不二雄が富山出身だなんてまったく知らなかったけれど、行ってみてわかったのは、ちっとも外に向かってそのことを大々的にアピールしていないということ。空港の名前に使ったりなになにロード、みたいにスポットを作って宣伝もしていない。ほとんど全てを他県にあるミュージアムに譲ってしまっていると言っていい。富山の人の控えめなことと言ったら!その控えめさがとても好きになった。そして、ほんの少しだけあるドラえもんスポットがとても素朴で可愛らしく、どこか洗練さすら感じられて見てまわっていてとても楽しかった。路面電車が走っているだけでなんだかハイカラだが、ドラえもん仕様(しかもなかなかかっこいいデザイン)のやつが走っているなんて近未来感を感じないではいられない。新幹線の紺色と同様、ドラえもんトラムの青と赤のカラーもまた北陸の静かな街にアクセントな差し色を与えていた。
 地図を描いていて気付いたけれど、小学校と古城公園の位置が近い。もしかしてお馴染みの「学校の裏山」というのはこの古城公園のことだろうか。小学校の裏側かどうかはわからないが。藤子不二雄自伝「まんが道」ではF氏とA氏がこの古城公園でああでもねえこうでもねえと悩みながら散歩する(「まんが道」はA氏視点で描かれているので主にうじうじ悩んでいたのはA氏だが)。確かにああいうところなら歩き回っていろいろなアイデアが浮かぶことだろう。思春期のもやもやはなんとなく和らぎそうだし、なにより夜中に宇宙人が上陸したり、内緒で未知の生物を飼ったり、その他友達となにか企むにはもってこいのスポットに思えた。古城公園だけではなく、そこかしこにFワールドの片鱗を感じることができる。もちろんそういうことを意識するからなのだろうけれど。そうやって考えながら歩き回るのは非常に楽しかった。
 ぼくは今ドラえもんの舞台といわれる練馬近辺に住んでいるのだけれど、そういえば住宅地を歩いていると、まさにのび太の家の近所みたいな風景を見かけることがある。都会に出て来るまでアニメに出て来る住宅地や街というのはファンタジーの世界に思えたけれど、今にもあそこの二階の窓から冴えない小学生が顔を出し、外から声をかけてくる友達に渋々返事をしそうだ。普段からドラえもん妄想をしながら歩いたら楽しいかもしれない。面倒な犬の散歩も楽しくなるというものである。
 ところで藤子不二雄のお二人は新人の頃に正月休みでこの高岡に帰ってきて、ほっとするあまりのんびりし過ぎて、抱えていた原稿を全ておとしてしまったというエピソードがあるらしい。それだけ二人が安心してしまうのもわかるような気がする。地方出身者にとって地元というものは総じてそういうものかもしれないが、それでも高岡はやはりのんびりのんびりと時間が流れていてすっかり原稿を落としてしまってもおかしくない安堵感を感じられたような気がする多分(それでも普通落とさないと思うが・・・)。二人がのんびりしてしまうのも無理はないな思ったわけさ。
 ドラえもんとは関係ないが、ほたるいかの味を覚えた。沖漬けやら塩辛やら。そもそもぼくはイカの塩辛が好きなので、沖漬けも黒作りも非常に美味しかった。イカえもんがいればいいのに。