2016/11/19

日記:11/14 - 11/18

2016/11/14 月

 ダックスフンドが様々な飼い主の元を巡っていく映画『トッド・ソロンズの子犬物語』の試写に。観ているあいだ中早く帰って犬に会いたくなる内容。夜は雨がしとしと降って非常に寒い。大きな満月だったようだが見る余裕もなかった。新しい依頼がきたのでひと安心。気づいたら今週は平日五日間試写に行く予定になっていたので、仕事は主に夜に。だいたいいつもそうだけどね。日が昇ってる間はどうも集中できないらしい。明るい間に活動するのは気持ちがいいけれど。
 間違えてポテトチップスのコンソメ味を買ってしまった。どうもコンソメは舌が痛くなる。

2016/11/15 火

 『スター・ウォーズ』シリーズの出演者の人生に迫るドキュメンタリー映画『エルストリー1976』の試写へ。基本的に一作目(1977)の出演者についてだけれど、二作目『帝国の逆襲』(1980)からはボバ・フェット役のジェレミー・ブロックも登場。マサッシ・テンプル・ガードのフィギュアが欲しくなった。
 歩行喫煙者には本当にうんざりする。犬の散歩をしていたらすれ違いざまに火のついたままの煙草を投げ捨てられ(投げる先を見もしない)危うく犬に当たるところだった。その場で暴力にうったえたくなるレベルだけれど、咄嗟に殴りかからないかわりに十分注意して歩かなければならない。十分に距離を取って、警戒して歩かなければならない。悲しいことだが自分や犬を守るためには仕方がない。ぼくは大人になって間もない身だが、こうも世の中の大人たちがルールを守っていないとは思わなかった。子供の頃、大人とは無条件で尊敬できる対象だったのに。煙草を捨てた彼も、あのまま家に変えれば誰かの息子であり夫であり父親であるということを考えると余計にやり切れない。自分となんら変わらない普通の人間であり、火のついた煙草を路上に捨てるという行為が彼らにとって日常的な習慣でなんら不自然なところはないのだ。まあ、なんにせよ彼らがぼくと一切関係ないところで苦しんで生きることを願う。
 家に帰れば今度はテレビだ。近頃テレビの音が耳について仕方がない。夜は番組もCMもキンキンとやかましくて参る。国産TVドラマの「ユーモラスなシーン」は寒くてこちらが恥ずかしくなる。どうもいろいろなことに対して神経質というか過敏になっている。妻や友人からも指摘される。なぜだろうか?

2016/11/16 水

 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の試写に。大きな映画館で行われる試写は特別感があってわくわくする。10年以上前に買ったホグワーツ校指定教科書(という設定の本)『幻の動物とその生息地』をバッグに入れておいた(映画のタイトルは原題はこの本と同じ。邦題も本と同じにしてほしかったな)。インワールドな小道具としてこの本はお気に入りだったが、子供の頃本棚を眺めるたびにそこで異彩を放っていた「ニュート・スキャマンダー」という名前から、どんな人物だろうかと想像を巡らせていただけあって今回の映画化は興味深い。この本が直接の原作というわけではないが、映画で描かれる冒険を通してスキャマンダーが魔法動物のデータを収集してまとめたのがこの本ということになる。ハグリッドがこの本を読んでいるとは思えない。
 家では仕事をしているのだけれど、どうもぼうっと座っていることが多い気がする。冷えるのでココアの粉を買ってきてホットミルクに溶かして飲んだ。ますますぼうっとした。
 妻が言うにはぼくの留守中にマンションを不審な男がうろついていたらしい。越してたときから玄関扉に二つも鍵がついていたから治安にはもともと期待していないが、心配。昨日書いた歩行喫煙者たちもそうだけれど、近所の住民は別としても家の周りを歩く連中のガラが悪すぎる。彼らを一掃できるほどの独裁者になるか、別のところに引っ越すかしたい。

2016/11/17 木

 09年頃にピクシヴでメッセージのやりとりをして以来2度ほど展示会を訪ねたことがあるくまおり純さんの個展の初日なので、マーベルの新作『ドクター・ストレンジ』の試写の前に中野ブロードウェイに行った。会うのは5年ぶりで、前回も同じ場所。時期もほとんど同じ。久しぶりだったし、何度も会っているわけではなかったけれどすぐにわかってもらえてうれしい。初日と最終日くらい在廊されないのではと勝手に思い込んでいたのだけれど、明日も在廊ということだったので、それでは妻とまた来ようと思った。アクリル画なのに発光しているように見えるくらい、光の使い方が素晴らしい。メイクイーンもいちご大福も驚くほど光っているし、木漏れ日の具合もデジタル画のように鮮やか。やはり実在の作品としての原画、絵画の力は圧倒的である。目の前の仕事で精一杯だとつい忘れがちだけれど、ぼくもやはり原画としての完成度をどこかで維持しないとなあと思う。
 中野ブロードウェイには旧ケナー社のSWフィギュアが比較的安価で売られているので興奮する。しかし持ち合わせがないので明日来たときに買ってみよう。
 『ドクター・ストレンジ』はアメコミやバンドデシネを読んでいると時折遭遇する「きもい画」をこれでもかと詰め込んだようなところが印象的だった。アメコミ映画は不思議と直接の原作本を読んでいなくとも、ああ、ここはきっとコミックに同じ画があるんだなと思うくらい、コミック本を読んでいる気分になるシーンが登場する。アメコミにありがちな画っていうのもどこかで頭に残っているんだろうな。とても楽しめた。
 今週はずっと試写続きで、帰ってくると疲れてしばらくぼうっとしがちだったけれど、さすがに週も終わりなので終わらずに残っているものを仕上げる。結局朝までかかってしまった。結婚式が終わってからというもの寝っぱなしだからこのあたりで調整しなければならないと思っていたんだよ。
 
2016/11/18 金

 最近犬が散歩中にするウンチの量が大変である。一度の散歩で5回ほどする。袋がいっぱいである。これだけたくさんのウンチを持ち歩いているという事実、可笑しくてたまらない。犬と暮らし始めた頃はまだまだぼくもペットはペットであって家族というほどではないだろうと思っていたのだけれど、どうだろうか。家族じゃないやつのウンチをこんなにたくさん毎日毎日丁寧に拾うか?結論、犬は家族である。このことは先日MRI検査を大金払って受けたときにも書いたね。お金の問題じゃないけれど、それだけ世話をしている以上家族の構成員以外の何者でもないってことさ。
 何通かメールを済ませてから(例によってメール一通書き上げるのに時間がかかりすぎている。丁寧なのはいいことだろうけれど、ちょっとしたメールを神経質に推敲し続けることにもはや疲れた)妻とともにバスで中野に向かう。子供の頃は平気だったがどうも最近バス酔いしやすいような気がする。
 くまおり純さんと、妻と3人でやはり犬の話で盛り上がる。展示されている作品の中でも犬が描かれた絵は際立っている(ように感じる。ぼくが犬に夢中だから)。ちょっとしたら帰るつもりだったけれど、純さんも早めに帰るとのことだったので、思い切ってお茶に誘ってみると快諾してくれた。場所をカフェに移してやはり3人で犬の話をした。もちろん絵の話も。年々変化して上達しているらしいぼくの絵を褒めてくれてとてもうれしい。絵に関する悩みについても、初めてメールの返事をもらったときと同様に苦しむ必要はないのだと気づかせてくれる。いや、ぼくも心の底ではわかっていたのかもしれない。ひとから言われて(それも憧れの)、やっぱりそうだよなと思い少し勇気が出た。自信を持つ勇気だ。自信を持たないことは周りに対しても不誠実と言えよう。なによりとにかく描いてみようという気持ちになれた。どこか懐かしい感じもする。やっぱりひとと絵の話をしないとダメだ。特に尊敬する相手とは話さなければならない。
 それで、なぜぼくはその会話の中で「足の指の爪は怖くて触れない」という話を熱弁したんだろうな。ぼくがひどい冷え性で足の指と指がまったく開かないほど足先が冷えきっているという話からそうなった。足に限らずぼくは手の爪も嫌いだ。少しでも伸ばしたらひっくりかえってしまいそうな、なにかの拍子にはがれてしまいそうな感じがして半ば強迫的に深爪をする。奇妙なチップが体の末端にたくさん貼り付いているのが気持ち悪いのだろう、足の指の爪は手に比べると小さいので、危なっかしく、今にも取れてしまいそうで怖い、という話をした。もちろんふたりともぽかんである。我ながら頭のおかしい話をしたものだ。少しでもユニークに、変わっていると思われたいがために奇妙な癖や体質を少し大げさに、自慢げに話すデザイン学生みたいだ。忘れてください。
 ところでブロードウェイで目当てのフィギュアはちゃんと手に入れた。思い描いたこと全部実現した日になった。夜は帰って来てから家の近所でバーガーを食べた。お気に入りの店で普段バーガーはないが、この日曜まで限定でバーガーを食べさせてくれるらしい。ルートビアが飲めるお店で、ぼくはここで初めてこの飲み物を飲んだ。ルートビアを頼むのはいつも妻で、ぼくは決まってドクターペッパーを注文する。