2018年6月8日

役所、黄色いあざ、子どもの名前

子どもの出生届けや引っ越しに関しての手続きで役所に行く。役所に行くときというのはつい身構えてしまうけれど、案外すんなり済むことも多い。出直さなければ駄目かと思って冷や汗をかいたときも、なんだかんだ手を打ってもらえる。役所のひとだって人間なのだ。

 単純な手続きを人工知能がやるようになれば、今のような融通はきかなくなるかもしれない。機械のお役人など、考えただけでゾッとするが、管理という仕事にはもってこいだし、ぼくが知らないだけですでに使われているかも。

 ぼくたちはディストピア的未来を想像するとき、20世紀的な独裁者が支配する世界を思い浮かべるけれど、実際は誰か個人や特定の組織がその意志を持って支配するというよりは、人工知能が管理するゆえに融通がきかなくなった世界というのが、現実的なところじゃないかな。決して人工知能が意志を持って劇的に変わるとかそういうのではなく、もっと自然に、人工知能を使っていたらいつの間にかそうなった、みたいな未来だ。

 なんてことをぼんやり考えていたら、妻がぼくの喉のあたりがやたら黄色いと言った。役所の壁の鏡で見ると確かに喉元から顎の裏あたりまで、戯画化された黄色人種というか、シンプソンズみたいに真っ黄色になっている。これじゃこのブログでも使っているアバターの自画像のようだ。

 黄疸というやつらしいが、黄疸で検索するとガン関連の記事が出てきたりして、額のあたりにさくらももこのキャラクターみたいな縦線がつーっと走って白目になりかけたが、ぼくは先週親知らずを抜いたばかりで、まだ腫れが完全に引いていない状態であることを思い出す。かなり深いところから、砕きながら引っこ抜いたわけだけれど、縫合した跡にはまだ糸が通ったままだ。おそらくはそのあたりに通っていた神経に触れたらしく、はぐきのあたりの感覚が鈍くなった。

 そういう親知らずの抜歯のあとでは、首のあたりに黄疸が出るものらしい。少し喉に違和感があるが、手術したあとが治っている証拠らしい。病気じゃなくてホッとして、なにもかもうまくいきそうなくらい明るい気分になったが、浮き沈みの激しさに妻が呆れた。

 子どもの出生届は受理され、自分で考えた名前の漢字が初めて公的な書類に印字されるのを見て、不思議な気分になった。ジュンパ・ラヒリの小説のように自分の名前が嫌にならなければ、この子は一生をこの名前で過ごすのだ。もちろんゴーゴリのような名前でもなければ、父親のような独特な名前でもないだろうから、別に気にしないと思うが。

『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』(2018)


 白状すると2008年当時は『ダークナイト』に夢中でマーベルのキャラクターなどこれっぽっちも興味がなかったし、バットマン映画のインパクトが大きすぎたので、『アイアンマン』や『インクレディブル・ハルク』もそれに便乗した映画に過ぎないと思っていた(なぜかDVDが出た当時はウィル・スミス主演の『ハンコック』が2本のマーベル映画と抱き合わせになっていたように覚えている。世間としてもそれくらいの認識だったのだろう)。

 あれから10年、まさかこんなに巨大なシリーズに、しかもバットマンが代表するDCコミック映画を軽々と凌駕するようになっているなんて。17歳の自分に教えてやりたいよ。

 三度目の大集合にしてもはや何人いるのか数える気にもなれないくらいに膨れ上がったヒーロー軍団と対峙してもまったく引けを取らないサノス。銀河皇帝も思いつかないようなとんでもないジェノサイドを企んでいるやつなのに、なぜか途中から負けて欲しくない(勝って欲しい、ではない)と思うようになっている自分がいる。手段を選ばない悪い奴、というのはよく言われるものだけれど、手段を選ばないことがどれだけ大変なことかをサノスは体現した。

 ハルクが序盤だけ登場してあとは変身できなくなるところ、ハルクがつねに画面で暴れてたらお話として困るから調整されているのだろうけれど、ブルース・バナーの新たなキャラ性が出ていておもしろい。思春期グルートが不愛想で後ろに隠れちゃってるところなんかも、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の時点で計算してたのかわからないが、そういう作用になっているのかな。うまくできているなあ。
 

2018年6月5日

I am your father !

 かくして無事子どもが生まれた。いわゆるベビーシェマの容赦のないパワーを思い知っている。

 当然ながら現実の出産は『シスの復讐』とは違う。ますますあのシーンが安っぽく感じられる。そもそもガラスの向こうでおじさんたち(しかもひとりはカエル)が見てるのがありえないし(この場合のありえないとは、現実的でない、というのと同時に神経的にありえない)、なんなら立ち会ってるのも旦那でもなんでもないおじさんである。パドメもそりゃストレスで弱ってしまうわけだ。

 子どもが生まれた感想がそれかよと思われてしまうかもしれないが、心境に整理がつかないのだ。これから少しずつ書いていこうと思う。

 ただ、永久に続くかのように感じられた長い時間、そしてもっと長い時間を体感したであろう妻の強さ、ついに覆いの向こうからにゅっと現れたその赤紫色の顔を見た途端、あ!と思わず声が出たことは忘れないだろうな。