2018/08/31

「CINEMORE」連載第8回


 映画サイト「CINEMORE」での連載シリーズ、
 「川原瑞丸のCINEMONOLOGUE」の第8回が更新されました。

 今回はちょっと前にニール・ブロムカンプが『ロボコップ』新作の準備に入ったというようなニュースをうけて、ブロムカンプの代表作『第9地区』と『チャッピー』の中にある『ロボコップ』リスペクトについて紐解きます。

https://cinemore.jp/jp/news-feature/398/article_p1.html

2018/08/30

瑞丸、免許を取る

 また間が空いてしまった。8月もやっぱり慌ただしかった。近頃は案件ごとの点数が多くて、わりとかかりきりである。点数が多いのは描きがいもあるし、金額もまとまっているからうれしいんだけど、たとえば同じ人物がずっと登場する場合、同じ人に見えるよう描き続けるのがなかなか大変。漫画を描くとコマごとに同じ人なのに顔が変わってしまう感じなので。

 そうそう、ようやく免許を取った。
 去年末に教習所を卒業してからずっと試験を放置してたんだけど、いくら期限が一年間あるといっても半年切ったらさすがに焦りはじめ、無理にでも行く日を決めた。試験場は全く馴染みのない駅から20分ほどバスで揺られた先にある広大な墓地のそば(あとで知ったがここはぼくの家のお墓があるところだった)にあって、勝手がわからずひどく緊張したけれど、すんなり試験は合格して、免許をもらった。

 去年教習所に通い出してからずっとスケジュール帳を圧迫していた懸念事項が無くなってすっきりした。もっと言えば、高校を卒業するタイミングで取りそびれて以降、専門学校に通っている間もなんとなく頭の隅で重みを持っていた問題だった。なんだか会う人会う人に取ったほうがいいよ、なんで取らないんだ、バカじゃないの?と言われて来たような気がする(最後のはさすがにない)。とかく男というのは自動車免許の話となるとすごくうるさくいろいろ言ってくるものだ。無事取ったあとでも、ぼくはそこまでこれを万人にとって重要なものとは思っていない。ぼくは取りたいから取っただけだ。興味がない、価値を見出せないひとに無理強いする理由は一切ないだろう。
 まあなんでもいい。とにかくぼくは取ったのだ。素直にうれしい。強力なパワーとスピードを扱う資格と、移動の自由というやつにはそれなりの責任がともなうが、資格は得たのだ。
 あれから一週間が経つが、道を歩いているときに財布の中に免許があるのを思い出すと、道ゆく人にそれを言いたくなる。

2018/08/05

日影丈吉「真赤な子犬」装画



 日影丈吉の代表長編ミステリー「真赤な子犬」新装版(徳間書店)の装画を担当しました。初のミステリー装画、それも往年の作家の代表作というのも大変うれしいです。
 大きめの帯にはイラストによるあらすじも描いています。次から次へと連鎖する謎、間の抜けた死、その中心に姿を現す真赤な犬……ユーモラスと怪奇が織り混ぜられた快作です。


2018/08/03

もうここらでいいんじゃないか

 画像系のSNSはまだ感覚的に楽しめるところがあるが、テキスト系はもはや読んでいられなくなった。どうしてかはうまく説明できないが、なんとなく他人の思考が垂れ流しになっている様を見続けるのはぼくのような人間にとって楽しいものではない。

 自分はそういったことは書かない、なんて言えば嘘になるが少なくともぼくは自分が楽しいと思えることしか書かないようにしているし、たまに苛立ちに任せて書き散らしたことがあってもわりとすぐに消してしまう。書き込みを削除することが無責任と思われることもあるらしいが、ぼくはSNSを管理されたブログと同様に見ているところがあり、だからこそついつい体裁を整えようとしてしまう。本来はもっと感覚的なツールなのだろう。SNSは深く考えたらだめだ、というのはうちの妻の言。確かにそうだ。ホームページやブログのように作品的な性質はそこにはないのかもしれない。しかし、あまりにも考えなしに使うひとが多いからこそ、「こんなこと」になってしまったのではないか。「こんなこと」がどんなことかはあえて言うまい。

 端的に言えば、他人の不平不満を読むことに疲れた。世の中の理不尽さに対する不満や問題提起は、なるほどその通りだと思えることは多いが(そもそも大抵のことは同意見の人間しかフォローしていないのだから当たり前だ。そうやって考えを精鋭化してしまうのもSNSの特徴だろう)、同意できるというだけで胸の中には嫌なざわめきが起こるし、残る。なによりまずいのは、こちらがそういう気分でない、そういったものを読む準備ができていないときにも、それは次から次へとこちらに流れ込んでくることだ。受話器を取らなくとも問答無用で不特定多数の不満の声が、こちらの都合などお構い無しに聞こえてくる電話を想像してみるといい。気が狂いそうだ。

 もちろん目を向けなければならないことは山ほどある。人間として無視できないことも多い。しかし、あらゆる不満や問題が可視化された世界にやって来てわかるのは、それらはいち個人が漏れなく関心を持つにはあまりにも膨大すぎるということだ。そこに一貫した考えを持つよう言われても到底無理な話である。

 情報過多で疲れ切ってなにも読みたくなくなっている人間を、まさか無関心だと非難はできないだろう。いや、できてしまうのか。

 とりあえず自分自身の日々を楽しむことに専念したい。

それができないから困っている

 新しい住まいにもひどい暑さにも子どもの泣き声にもなんとなく慣れ始めたような気はする。ほとんど毎日なにかしらの締め切りというような日々は相変わらずだが、その合間に残っていた親不知を抜いてとうとう治療が終わり、仕事で名古屋に行く用事があったのでついでにレゴランドに立ち寄ったり、取材の依頼で『スター・ウォーズ』のコンサートに行ったりしていた。

 親不知を抜いた直後に久しぶりに高熱にうなされ、悪寒と震えが止まらなかった。さては寝不足に麻酔がいけなかったのではないかと翌日消毒しに再び病院に行った際、お医者に尋ねたのだけれど、親不知を抜くような手術で熱が出るなんてことはないとあっさり言われる。疲れが溜まっていて、処置の負担が身体にこたえたのだろうということだった。できるだけ睡眠を取って休んでください。そう言われたが、それができないから困っているのだ。ストレスを溜めず、睡眠を取って休みましょう。インターネットにも嫌というほど書いてある決まり文句だ。なんの足しにもならない。お金がなくて困っているひとに、お金を稼ぎましょうと言っているようなものだ。まあ、それが一番ストレートな回答であるのかもしれないが。

2018/08/02

「CINEMORE」連載第6回「スター・ウォーズ in コンサート」レポート


 映画サイト「CINEMORE」での連載シリーズ、
 「川原瑞丸のCINEMONOLOGUE」の第6回が更新されました。

 https://cinemore.jp/jp/news-feature/372/article_p1.html

 今回は特別篇として、7月29日に東京オペラシティにて開催された「スター・ウォーズ in コンサート Japan Tour 2018」のレポートです。オリジナル三部作をオーケストラの生演奏に合わせて一挙上映するとても豪華なシネマ・コンサートで、三部作それぞれをポスターアート風にまとめました。スクリーンで観なければわからない、生演奏で聞かなければわからないことがたくさんあり、改めてそのディティールの虜になりました。テキストによる詳しいレポートはリンク先よりご覧ください。

 『スター・ウォーズ』について正式に記事を作れたことも、こんな豪華なイベントに関係者席で参加できたこともとてもうれしいです。今後の仕事もフォースとともにありますように。

金曜ロードSHOW!『オデッセイ』


 日テレ系「金曜ロードSHOW!」番組ウェブサイトにて、8月3日に放映される映画『オデッセイ』のイラストレビューが掲載されています。


 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』での好演が記憶に新しいドナルド・グローヴァーはじめ、SF映画やマーベル映画でおなじみの面々が結構集まっている本作。出演者について細かく書き込んでいます。マッケンジー・デイヴィスが出ていたのはこのたび改めて気づきました。