2014/12/31

2014年まとめ

 今年は特に重要な年になったと思います。なんといってもたくさんのお仕事をいただくことができ、少し自信がついた年になりました。年明け早々新たな住まいに引っ越し新生活を始めるとともに、春に週刊文春の連載挿絵のお話をいただき、その後もさらに新しい連載の準備やTV番組のお手伝いをして充実した日々をおくることができました。特に冬になってからはなんと、大好きな「スター・ウォーズ」の解説番組に関わらせていただき感無量でした。幸運なことに、そんな2014年は大好きなバナナマンのお二人の連載に挿絵を描かせていただくというお仕事で締めくくりとなりました。大変うれしいです。
 年明けにも早速新しい営業報告ができるかと思いますのでそちらもお楽しみに。
 仕事以外の私生活では秋頃に婚約して婚約指輪を買いました。仕事が増えると同時に買うものの値段も少々上がってしまいましたが、とても楽しいです。来年入籍する予定です。
 来年も何卒よろしくお願い致します。

「スター・ウォーズの新作についてぼくたちの知るいくつかのことがら」3.撮影現場編


 「古くて、新しい」や「使い古された未来」というようなコンセプトは「スター・ウォーズ」において重要なものとなっています。決してなにもかもがハイテクでピカピカの未来としての宇宙ではなく、「遠い昔、遥か彼方の銀河系」という、とても未来的な雰囲気を持つ世界であるにも関わらず昔話としての性質を持っているところがこの作品の魅力だと思います。
 新作でもその精神は健在で、砂漠に打ち捨てられた数々のオブジェクトはどれもSW的な”汚れ方”をしています。そして、よく目を凝らして写真を観ると、なにか見覚えのある部品が無造作に置かれていたり・・・。
 「スタ―・ウォーズ」シリーズを象徴するようなロケーションである惑星タトゥーインの、新たな面が観られるのが楽しみです。

2014/12/30

「スター・ウォーズの新作についてぼくたちの知るいくつかのことがら」2.新キャスト編


 マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー)、ハリソン・フォード(ハン・ソロ)、キャリー・フィッシャー(レイア姫)、ピーター・メイヒュー(チューバッカ)、アンソニー・ダニエルズ(C−3PO)ら旧作キャストも出演すると発表されています(R2-D2役のケニー・ベイカーについては曖昧。R2の登場はもちろん確定していますが。。。)。個人的にはイウォーク族のウィケット役ワーウィック・デイヴィスにも出て欲しいところではありますが、どうでしょうか。
新キャストは若手率が高いですね。その中でクリーチャーを演じたら右に出るものはいないアンディ・サーキスや、スウェーデン出身のベテラン俳優マックス・フォン・シドーが際立ちます。「フラッシュ・ゴードン」の映画化権を得られなかったジョージ・ルーカスが代わりに「スタ―・ウォーズ」を構想したという経緯を考えると、1980年の映画版「フラッシュ・ゴードン」にてミン皇帝を演じたフォン・シドーがSWの新作に出演するというのは、巡り合わせを感じずにいられません。他にも「それでも夜は明ける」のルピタ・ニョングや、ドラマ「GIRLS」のアダム・ドライバーなど若手注目株からも目が離せません。
 そしてなによりメイン・キャラを演じると思われる新人女優デイジー・リドリーが、調べてもほとんどなにも情報が出てこないという本当に文字通り新人さんというところも驚きです。
 新キャストの出演作を全てチェックしたいくらいですね。

「スター・ウォーズの新作についてぼくたちの知るいくつかのことがら」1.基本編


 「スタ―・ウォーズ」の新作公開まで1年をきりましたね。またリアルタイムでSWを楽しめると思うと(しかも今度は全くの新作だから展開も読めない!)うれしくて仕方ありません。わくわくしておさまらないこの気持ちを、こうして記事にすることで紛らわせたいと思います。新たな情報が入り次第まとめますので、あまり情報が追えていないという方の参考になればと思います。

「オリーブ少女ライフ」感想


 雑誌の号とともに自分の人生を振り返るができるなんて、とても羨ましいです。
 ぼくも雑誌を買うことはあったし、高校生の一時期何ヶ月か続けて買って読んでいたこともあるのですが、学生ならではの金銭的な事情やそのうち興味の無い特集(これもその年頃特有の好きなこと以外への無関心さのせい)があったりして、そのうちに買わなくなってしまい、これはという表紙や特集の際にたまに手を伸ばす程度になっていました。
 山崎さんのツイート等を追っているとたびたび「オリーブ」という雑誌が登場します。一体どんな雑誌なのだろうと気になっていました。復刊したのさえ00年代の前半ですから、当時小学生中学年だったぼくがどうしたって読み得ないもので、そう考えるとぼくにとってとても遠い雑誌でした。年代と性別、二重に遠く感じたからこそ、なんだか羨ましくなってしまいました。
 ある年末に実家に帰った際、母親から「オリーブ」の切抜きを何枚かもらいました。雑誌そのものは母も持っていなくて、その切抜きだけが「オリーブ」の手がかりでした。けれどすぐに、なんとなく母が好きそうなものが詰まった雑誌らしいということがわかりました。それなら当然ぼくも好きになれるものであることは間違いない、と思うものの、もうリアルタイムでは読めない雑誌なんだなと思うと残念でした。
 「オリーブ少女ライフ」を読んだ後、神保町の古本屋で「オリーブ」を漁りました。作中に登場する号はなかなか年代が合わず見つけられなかったけれど、山崎さんがコラムを連載していた復刊版「オリーブ」は比較的新しいためか豊富に揃っていて、その第一号を買って帰りました。
 読者だった山崎さん自身が後に復刊した「オリーブ」に連載を持つという、憧れに近づいていく印象的なエピソードは作中でも山場として語られ、いかに喜ばしいことだったかも文章からわかります。けれど、先日青山ブックセンターで開かれたトークショーにおいて山崎さんは、大好きなオリーブに連載を持てて幸せ、良かった、というような話で終わらせるつもりはなく、そのあとに「オリーブを卒業する」という章で締めくくったと話していました。
 ぼくもここで語られている「オリーブ」のような雑誌に出会えたらいいなと思います。イラストレーターとしてはやはりもっと雑誌の誌面で仕事がしたいですし、来年はなにか雑誌を毎月買ってみようかなとも思います。

2014/12/25

「さみしくなったら名前を呼んで」感想


 「ここは退屈迎えに来て」や「アズミ・ハルコは行方不明」を読んだときにも感じたことですが、とにかく山内さんの描く地方像や別に生まれ育った場所が嫌いなわけじゃないのだけれど、やはりどこか合わない気がして都会へ出て行って自分の可能性を試してみよう、自分の居場所を見つけようとする若者達の物語は、とても他人事とは思えません。生まれ育った地域性やそこで育ったからこそ形成された性格という、大変パーソナルな要素への共感は、真の意味での共感のように思えます。富山(とは明記されていませんが山内さんの出身地であり恐らく作中に登場する地方都市のモチーフ)と千葉の房総では細かいところがいろいろ違うと思いますが(海辺ではありますが港にロシア人が降りてくることはありませんし)、読んでいると「そうなんだよなあ」と思わず口に出して呟きたくなるくらい地方あるあるが盛り込まれています。
 今作では都会への憧れがより浮き彫りにされているように思います。「ケイコは都会の女」や「Mr.and Mrs.Aoki,R.I.P」はものすごく洗練されていて品の良い人達が実は東京生まれというわけではなく、地方の出身だからこそ隙の無い虚飾を身にまとって傍目には優雅に見える生活をしていたという、少し虚しく、なんとなく愛嬌を感じる物語です。実際田舎から出てきた人ほど都会人らしさを意識するというようなことはぼくも身近で目にします。この人、東京の細かい道にやたら詳しいな、いろんなところを歩き回っていろんなお店を知っているな、という人に限って地方出身者です。そもそもぼくも東京生まれの知人が少ないし、東京で生まれ育っている人だって東京の道順に詳しいこともあるでしょう。けれど両者を見比べてみると、前者の方は明らかに必死なのです。まるで東京を吸収しなければ死ぬ!とでも言うかのような必死さで、日々東京の街を勉強しているように見えます。人によっては自分の出身地を小馬鹿にしているなんてことも。これは「人の思い出を盗むな」に登場する語り手の姉ですね。地元を離れた途端故郷を他人事のように嘲笑する。山内さんの書く主人公達は地元地域に対して思うところはあるものの、別に地元が嫌いとか、馬鹿にしているわけではない。だからこそ愛されるキャラクター達なのだと思います。ケイコも川越を誇りに思っています。青木夫妻はどうかわかりませんが、「人の思い出」の姉のような感覚を抱いてはいないでしょう。この二人の場合は地元とも関わらないようにしていたかもしれませんが、同時に孤独故に都会とも対峙していたように思えます。東京を崇拝して田舎を嘲笑するような安易な性格は夫妻を描いた短篇からは読み取れません。
 出身地が謎に包まれ、東京で必要以上に洗練された都会的生活を営むことで逆に地方出身者臭さが出てしまう青木夫妻とは逆に、東京を置いてきて田舎でマイペースな生活をおくる東京出身の人々もわりと多いのではないでしょうか。ぼくの両親もそういうタイプだと思います。都会で生まれ育った人は都会人らしさになどそれほど執着しないのかもしれません。こういった反青木夫妻的な夫妻はぼくの地元にはわりと多かったような気がします。田舎に馴染みながら暮らしながらもあきらかに他の地域住人とは違った趣味の良さを持つ人々。そういった真逆の人々もいることを意識すると、青木夫妻の物語はさらに切なく、二人が愛らしくなります。
 話は戻って、この本の最後に収録されている「遊びの時間はすぐ終わる」もまた共感を呼び起こします。ジャスコに行くことを大冒険のように感じていたぼくにとってここに登場するショッピング・モール「セフレ」にまつわるエピソードは自分の身に起きたことのように思えますし、帰省した際に久しぶりに遊ぶ友達との会話やノリ、温度に明らかな差があり、どこか噛み合ない雰囲気も痛いほどわかります。別に上京して都会人になったつもりもさらさらなく、また上で書いたように「田舎を気に入ってそこで暮らす都会出身の人々」を介して都会を垣間見ていた身としては別に地元を嘲笑したり避けるつもりもないのですが、やはり相手との感覚のズレが大きいことにショックを受けます。18歳まで地元で暮らしてきた中でその感覚のズレはしょっちゅう感じていたのに、一旦上京したことでそれは一層大きくなってしまう。地元の知人の中にはぼくがいずれ戻ってきてこちらで暮らすのだと信じている人もいたりする。もちろん、だからといって「地元うぜえな」という気持ちにはなりません。まとまって休日が出来た際にはまた帰省してタイミングの合う人とは遊ぶでしょう。しかし、もともとの感覚のズレこそが多くの地方出身者を上京させるのです。そして彼らは都会に出ても結局他人とのズレを埋めることができずにやはり孤独になったりします。よく地方から出てきた人が「東京は冷たい」と表現したりするのはそのせいではないでしょうか。それは場所の問題ではなく、自分の性格の問題だったりするのかもしれません。孤独な人が大勢いて皆が曲解した”都会人らしさ”を演じることで、都会は冷たくなるのかもしれません。
 
 

「ペンギン・ブックス 文庫の帝王 A・レイン」


2014/12/22

【営業報告】バナナマンさんの連載の挿絵を描いています


 「バナナイスデー」は毎回その月にどんな「○○の日」があるかをテーマに対談する、「今日はなんの日?」トーク連載です。今号は「12月25日:スケートの日」と、「12月31日:大みそか」がテーマで、それぞれ一点ずつフルカラーで挿絵を描きました。お二人の似顔絵も込みの挿絵なので、もっとお二人の特徴をつかめていけたらいいなと思います。
 これから毎号描いていくので、何卒よろしくお願いします。

2014/12/06

【営業報告】「スター・ウォーズ」のお手伝いをしました


 十代のほとんど(そして今現在も)を「スタ―・ウォーズ」に捧げてきたと言っても過言ではないので、こんなにうれしいことはありません。どんな形であれ、「スタ―・ウォーズ」に関わることができるなんて夢のような話ですが、やはり絵を描くという仕事の上で関わることができて本当に良かったです。バナナマンのお二人も大好きなので、好きなこと尽くしのお仕事でした。「好き」や「憧れ」が仕事に繋がるのはとても幸福なことです。楽しく取り組ませていただきました。
 これからも「スタ―・ウォーズ」を好きでい続けたいと思います。
 そして、好きなものは素直に好きだとアピールしたいと思います。
 「バナナ・ウォーズ」は、来年1月のアニメ「反乱者たち」放送に向けて12月中に全5回放送されるそうです。
 詳しい放送スケジュールはディズニーXDのページをご覧ください。