アンディ・ウォーホルが好きで憧れると言うと、「全然分野が違うよね」とか、「あの人は絵って感じがしないけどなあ」的なことを言われたりするのですが、いやいや違うんです。ウォーホルはキャンベルスープ缶やマリリン・モンローなどのイメージでお馴染みですが、もともと彼のキャリアは商業イラストレーターから始まったものであり、「ヴォーグ」や「ハーパース・バザー」などの有名雑誌を華麗なイラストレーションで飾っていたのです。後の画家としての作品がパワフルなのに対して、当時の作品は繊細なインクペン画です。しかし独特の色彩感覚はすでに現れています。彼の描いた猫の絵などとても普通猫をこれで塗ろうとは思わないような色で塗られていてすごく綺麗です。
売れっ子になったウォーホルはイラストレーターとして成功をおさめることになりましたが、注文やその修正に忙殺されてしまい当然苦悩もあったようです。インクで描いた線画の上に別の画用紙を乗せて線画を転写する技法を発明したりしています。このときから「大量生産」に向き始めていたのでしょうか。そんな技法を用いざるを得ないほど注文が殺到していたということかもしれません。羨ましい。とても辛そうだけれど。
やがて彼はイラストレーターを廃業して画家に転向します。後は皆さんご存知のように、バットマンやスープ缶、バナナ、女優、$マークなどなど、アメリカンポップアートのアイコンとなる作品を作り出して行きます。
ちなみに先月の誕生日に「アメリカン・ポップアート展」を観ました。マリリンも毛沢東も思っていた以上に大きかったです。花瓶にささった花など初期イラストレーションを思わせるシンプルな線画もありました。
上の絵の中にある天使のカードはぼくが11歳のときにもらったものです。その夏ぼくは初めて自分で描いた絵はがきで小遣い稼ぎをしたわけですが、そのとき絵はがきを買ってくれたお姉さんが後日手紙をくれて、その中に同封されていたのがこのウォーホルの天使のカードです。10年経ちますがまだ持っています。