先週末から日本でも公開が始まった「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」。ぼくはまだ観ていないので、とりあえず前回の「アベンジャーズ」以降、「エイジ・オブ・ウルトロン」に続いていく「フェーズ2」シリーズ群のまとめです。
「アイアンマン3」は「アベンジャーズ」後のトニー・スタークの苦悩を描き、彼自身のキャラクターを掘り下げている。「アベンジャーズ」で数々の異形や、科学では太刀打ちできない未知の脅威を知ってしまった彼は、アイアンマン・スーツに頼るしかない自分の無力さに苦しみ、取り憑かれたかのようにスーツ作りに励む。「アイアンマン」シリーズのテーマのひとつ「作る」がここに極まる感じ。トニーの精神的な面に焦点を当てているためか悪役や戦いはいまひとつ(一作目のジェフ・ブリッジス同様、ベン・キングスレーという名優の雑な扱い)。まあ、一作目も二作目も個人的にはいまいちだったけれど。アイアンマンがアイアンマンたる所以のようなものを今一度確認できる作品になっている。
「アベンジャーズ」のあとでソーとロキ(特にロキ)がどうなったかを描く「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」。地球から故郷に戻ったソーは王位継承者としての仕事に励み、前作の傲慢なドラ息子から優れた次期指導者に大きく成長し、ロキは地下牢で服役中。しかし、宇宙征服を目論むダーク・エルフの出現をうけてふたりは一時共闘することに。同じ頃地球でも宇宙で起こっていることの影響を受けて異変が起き、ジェーン、ダーシー、セルヴィグ博士も奮闘する。前作同様、宇宙サイドの戦いのスケールとのバランスか、地球側のキャラクターがちょっとお間抜けな感じでてんてこまいになる様子が笑える。
「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」は前作「ファースト・アベンジャー」とは打って変わった雰囲気。「アベンジャーズ」後、国のために数々の任務を遂行していたキャプテン・アメリカだったが、アメリカは彼が知っていた戦前戦中のアメリカではなくなっていた。持ち前の愛国心が組織を疑うという発想を彼に抱かせてこなかったが、とうとうキャップは疑問を持ち始める。敵は味方の中にいたのだ・・・。
「ファースト・アベンジャーズ」では第二次世界大戦を通して無条件でアメリカの戦いを賛美して描いていたけれど、「ウィンター・ソルジャー」では反対にその幻想が通用しない現代のアメリカの暗部を彷佛とさせる。その中で変化になかなか適応できずに苦しむキャプテン・アメリカを描き、彼により強大で複雑な敵を用意している。キャプテン・アメリカの個人的な物語であるとともに、アメリカそのものの変化を描いていると思う。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に関しては個別に感想記事を書いたのでざっくりと。MCUにおいては今のところ「アベンジャーズ」のメンバーと関わりがないけれど、同じ世界観を共有している作品(「アベンジャ―ズ」に少しだけ登場したサノスが登場)。とは言え遠い銀河系の物語なのでなかなかその実感はないけれど。宇宙繋がりで「マイティ・ソー」の世界とリンクがあり、「ダーク・ワールド」のエンドクレジット後には、「ガーディアンズ〜」に登場する宇宙の蒐集家コレクターがソーの手を焼かせたアイテム「エーテル」を預かるシーンがある。MCUシリーズは「インフィニティ・ストーン」という複数のアイテムを巡った戦いが一本の筋になっており、フェーズ1には「コズミック・キューブ」(四次元キューブとも)を巡ってアベンジャーズが戦ったが、この「エーテル」もインフィニティ・ストーンのひとつ。「ガーディアンズ〜」には「オーブ」というインフィニティ・ストーンが登場し、これの争奪戦というのが本筋となる。アイテムによって別々の映画が繋がっていくのもMCUの特徴。
さて、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」が公開された今、フェーズ2も残すところあと一本となった。これが「アントマン」というまたユニークなキャラクターの映画であり、アリのサイズに縮小して戦うもっとも小さなヒーローの物語となる。
大変楽しみだが、どうしてフェーズ2はアベンジャーズで終わらずに、このアントマンの映画で締めくくられるのだろうか。そこにはなにか、アントマンの大きさからは想像できないような大きな展開があるはず!