ぼくがこの映画を観る前の週あたりに、当のクリス・カイルを殺害したエディー・レイ・ルースの終身刑が決まったということを、後で知る。タイムリーすぎてものすごく不思議な感覚である。実話を基にしているから当然なのだが、映画と現実が密接に結びつくことで、まだ映画の続きを観ているかのような感じ。
見終わる頃には銃声が恐くなった。もちろん銃声とは恐ろしい音である。映画では銃声がよく鳴るものだし、聞き慣れているつもりだったものの、この映画の銃声は本当に人間一人を死なせるのに十分な音のように感じられる。ズドン、ズドン。お腹に響く音だ。シルベスター・スタローンが鳴らす音とは明らかに感じが違う。映画とはこれくらいのエネルギーを放てるものなのだなと思えた。
ところで、エンドクレジットでキャスト名が表示されるまでクリス・カイル役がブラッドリー・クーパーだとわからなかった。なんと18キロ以上の増量である。全くの別人に見える。というか本物のクリス・カイルそっくり。