本来ぼくのような人間は専属の運転手にベントレーで迎えにきてもらうくらいでなければならないのだけれど、まあできる限り節約するにこしたことはないだろうし、自分でできることはやらないとね。ということでこの春から教習所に通っている。通っていると言ったってまだ三度くらいしか足を運んでいないが。この前は諸々事前に受ける説明やテストが終わったので、初の乗車だった。
いやあ、おっかなかった。おっかなすぎて、やっぱりぼくは運転手を雇った方がいいのかもしれないとうっすら思ったくらい。しかし、同時に愛犬のニタニタ顔なども浮かんできて、あれが元気なうちにいろいろなところに連れて行ってやるのだ、小さなカゴに閉じ込めて混み合った地下鉄で運ぶのなんてやってられるか!という気持ちも強くなり、まあとにかく犬のために、ただひたすら犬のためにがんばろうと思った。車に乗っているときのあの喜びようを思い出せば苦にならない、はず。
海辺に連れて行ってあげるからねえ。