2018/06/28

どうして懲りずにまたボバ・フェットを作っているのか


 前買って作ったやつは塗装してぐちゃぐちゃになったからです。どうして塗装したくなってしまうかというと、プラモやレゴというのは作っているときが楽しいのであって、出来上がったあともなにか手を加えたくなってしまうからだ。レゴの場合は何度でも組み立てたりバラしたり、同じ部品で違うものが作れるだろうけれど、プラモの場合はそうはいかないし、プラモでぼくができる改造といえば色を塗るくらいしかないので、塗っちゃうんだなあ。
 
 そして、その色塗りもあまり上手じゃないんだよ。正直言うとこれは立体物だから勝手が違うというわけではなく、平面においても実は絵の具類の塗りは下手。もうずっとデジタル彩色で絵描いてることからもおわかりいただけるでしょう。

 そういうわけでボバも、C-3POとR2-D2(結婚式のときケーキトップに使ったやつだったんだけど)も下手くそな色塗りでどろどろのぐちゃぐちゃになってしまったとさ。なので、ひとつずつ作り直してまたやり直そうかなと思ったわけ。ああ、K-2SOもダメになっちゃったね。ドロイドなんてボバに比べたら塗る必要ないんだけど、コンビは砂の中歩いてるイメージ強いし、K2も結構傷だらけだから、筆を取ってしまったんだなあ。

 プラモ作り直し第一号となったボバ・フェット。同じキットを二回作るなんてことは初めてだったけど(途中ですごく馬鹿々しい気分にもなったけど)、二回作るとより良さがわかりますね。キットの良さも、ボバ・フェットそのものの良さもわかる。いやあ、貴重な体験だった。


 これ、すごくびっくりしたんだけど、実は緑色が二種類使われている。すごく細かい。ストームトルーパーを作ったときも、ヘルメットのバイザーが黒ではなく、プロップ通りに緑色のクリアパーツになってることに感動したなあ。ボバもこういうふうにヘルメットの後頭部が、他の部分とは違う種類の緑色なのだ。

 全体のパーツでは、ヘルメットのてっぺんと顔面、背中に背負うジェットパック、両腕のガントレットが同じ緑色。ヘルメットの後頭部、背中と胸側のプレート、股間のプレートが同じ緑色となっている。二色つかないので、全ての色分けが実物と同じかどうかはわからないけれど、ヘルメットにおいてはこのように後頭部だけが若干違う色となっている。


 完成。うん、塗装なんてしなくてもこの成型色のままでも全然かっこいいし、十分である。ボバだから汚れてなければならない、などとこだわる必要はなかったのだ。おでこの凹みや胸の傷など、特徴的な部分は立体的に表現されているので、それでもういいんじゃないかな。

 申し分ない立ち姿だ。キットを組み立てて作ったのに、ちゃんと人間がこういう衣装を着ている、という感じに見える。かなり広い可動範囲でいろいろポーズがつけられるのに、関節によってプロポーションが損なわれているということはない。

 ボバっぽい体型かと言うとそうでもない。個人的な感覚だけれど、こんなにがっしりとした肩幅ではないし、がたいが良すぎる。立ち姿はリアルかもしれないけれど、姿勢が良すぎる。これはプラモというか、フィギュアの永遠の課題なんだけど。


 ボバってくたびれてるんだよね。装備もボロボロだし、部分ごとに色も違っててすごくホームメイドな雰囲気が漂う。そこが魅力だ。恐らくその装備の重さもある程度姿勢に影響してるだろう。そんなくったびれた感じで、登場シーンといえばほとんど黙って突っ立ってるだけなんだけど、なぜかものすごい存在感を放っている。ただ突っ立ってるだけだからこそ、こいつ何者なんだ、というただならぬ雰囲気があるのだろう。ましてやあのダース・ヴェイダーに向かってタメ口をきくようなやつである。

 ヴェイダーやストームトルーパーのようにヘルメットに表情がないのも大きい。そして、あれだけ色彩によって善悪がはっきり塗り分けられている世界で、緑色や黄色、しかも傷だらけで剥げまくっているごちゃごちゃの装備という出で立ちが異質さを出してもいる。同じような色彩の賞金稼ぎグリードが前作でハン・ソロに撃ち殺されているところも興味深い。

 ヘルメットの表情といえば、恐ろしく視界の悪そうなバイザー。もしかするとあのゆったりとした動きや歩き方は、視界の悪さから慎重に動いていたからではないかとも思うが、演じていたジェレミー・ブロックが参考にしたのは、「ドル箱三部作」でクリント・イーストウッドが演じたキャラクターだそうだ。言われてみればプリプロ版ボバは体の前面をポンチョらしき布で覆っていたりして、イーストウッド扮するキャラクターと重なるところがある。そしてあちらも賞金稼ぎ、バウンティ・ハンターだ。


 さて、これが前回作って色を塗ったやつ。なんでこんな色にしたんだと思われるかもしれないけれど、これにはちゃんとモデルがあるのであって、ぼくがまたトチ狂った色彩感覚で塗ったわけではない。このバージョンの配色について説明するために、時計を1978年に戻そう。

 もともとボバ・フェットはストームトルーパーの上級版、スーパー・ストームトルーパー(スーパー・トルーパーとも)として生み出されたという。ストームトルーパーの指揮官なので、全身は真っ白だった。ラルフ・マクォーリーとジョー・ジョンストンによって創造され、最初の真っ白なアーマーはジョンストン自身がテスト着用もした。

 上級トルーパーという最初の設定は、後のストームトルーパーの前身となるクローン・トルーパーが、ボバ・フェットと同じ遺伝子を元に作られたという設定にほんの少し生かされている。シークエル三部作におけるストームトルーパーの指揮官、キャプテン・ファズマもボバ・フェットの影響下にあるキャラクターだろう。

 真っ白だったボバはこのあと何度も改良され、色も塗られていく。1978年9月、カリフォルニアはサン・アンセルモでの興行パレードに、その途上にあるボバの姿がお披露目された。ダース・ヴェイダーの横を歩くプリプロ版のボバは、現在知られているのとは少し違う配色で、おでこに目(耳とも言われている)が描かれていたりする(この目の模様はアニメ『クローン・ウォーズ』の主要キャラ、クローン兵キャプテン・レックスのヘルメットに描かれることになる)。

 最初に書いたような、アーマーの部分ごとに緑色の種類が違うというのは、たぶんいろいろなバージョンが作られていく中でひとつ前の色が部分的に残されたりとか、そういう過程で出来た色の違いなんじゃないかなと思う。

 その後、同年11月に放送された『ホリデー・スペシャル』におけるアニメ・パートに、これまた違う色彩のボバ・フェットが登場。映像作品としてはこれが最初で、映画よりも先にアニメでの初登場となる。この『ホリデー・スペシャル』版のボバの魅力については前にも書いたね(→該当記事)。アニメではヘルメットが水色、胸部プレートが薄黄色といった配色だが、アニメのデフォルメに加え、前述したようなプリプロ版で色が未決定だったからではないか。

 そして1979年。おなじみケナー社がボバのフィギュアを出すが、これがプリプロ版の配色をもとにしている(というかまだプリプロ版しかなかったのだろう)。基本的に全身水色で、胸部プレートは緑色、右手のガントレットは赤、左手は黄色。このガントレットが左右で赤と黄色というところがプリプロ版の最大の特徴だろう。79年に発売されたフィギュアはこのボバのみ。→参考画像(Rebelscum.com)

 というわけで、ぼくがどろどろに塗った色はこの「プリプロ版を参考にしたケナーのフィギュア」の配色に従っているのだ。長かった。


 これはこれで気に入っちゃいたんだがね。でも基本の水色があんまりうまくいかなかったし、プリプロとケナー、と二重に映画とは違うバージョンの配色なので、なんだかしっくりこなかった。これならプリプロ版をそのまま再現すればよかったんだろうけれど、ケナーの玩具の再現というところにこだわりすぎた。あれはケナーのレトロな人形だから合う色なのかも。

 このボバを最後にプラモデルやフィギュアを塗っていない。またどっかでやっちゃうのかもしれないが、ぼくは多分買った状態でのおもちゃが好きなんだろうな。製品としてのプレーンな状態がいちばん魅力的なのかもしれない。自分で手を加えた瞬間、よくも悪くも自分のものになってしまうというか。

 長々と書いてきたように、ボバ・フェットというキャラクターはカスタムによって成り立っている。制作過程もそうだし、設定中でもそう。ましてや、プリプロだけでなく、映画に登場してからもEP5『帝国の逆襲』とEP6『ジェダイの帰還』とで色や細部が変わっているのだ。つねに姿を変え続けている、様々な色を持ったキャラクターでもある。だからこそ汚したくなるし、塗りたくなるし、いじりたくなる。

 絵が描けるからなのか、どこかに工作願望やアレンジ願望みたいなものがあるし、最初にも書いたようにプラモはいつまで作る作業を続けたくなってしまうから、手を加えたくなる。でも、ぼくがおもちゃを集めるのは、おもちゃが他人の作品だからなんだよね。ひとが作ったものだからお金を払って買いたくなる。そこに自分で手を加えてより良くなる場合も多少はあるかもしれないけれど(ちょっとした修理とか)、基本的にはそのままにしておくほうが、ぼく個人にとってはいいのかもしれない。