「山と渓谷」6月号(山と渓谷社)にて、立山黒部アルペンルートのイラストを見開きで描いています。富山はちょっとしか行ったことがないけれど、ああいう大きな山脈を見ると、太平洋側の呑気な地域で育った自分が見てきた山は、かわいらしい丘みたいなものに思える。本当に大きな山のある地域で夕焼けを見たとき、黒々とした大きな山が壁のように聳えていてどこか恐ろしい感じだったのを覚えている。まだ空は赤いのに、ふもとの道路はもう真っ暗で、車はヘッドライトを照らしていた。結構衝撃的な風景だった。
大きな山のせいで日の光が半日しか入ってこない村で、みんなで問題の山の土を運び出して低くして、日照時間を伸ばすという絵本があったなあ。子どもの頃はそんな山あるかいなと思ったものだが、ああいう風景を見るとそういう話が切実に思えるし、山の大きなシルエットにただならぬ気配を感じて畏怖を抱くのも不思議なことではない。