2019/05/03

「SPUR」6月号



 「SPUR」6月号の映画レビュー連載では、5月17日公開の『アメリカン・アニマルズ』を紹介しています。00年代に実際に起きた大学生たちによる希少本強奪事件を描く。白昼堂々図書館の展示室に強盗に入るという無謀な犯行もインパクトがあるが、学生たちの稚拙な動機や計画が形作られていくところがメインでもある。途中で事件を起こした本人たちの証言も挟まれ、時折4人それぞれの記憶が食い違ったりもするのもおもしろく、事件がどんどん伝説みたいになってくる。彼らの人生がいっときの出来心(というからには結構用意があったわけだが)でいかに狂ったかも語られる。ぼくはどうも自分が子どもの頃、十分にどう過ごしていたかを思い出せる年代に起こったこと、あるいはその頃を描いた映画とかに弱いんだなあ。