2019/08/13

映画『永遠に僕のもの』コメント


 8月16日公開の映画『永遠に僕のもの』にコメントを寄稿しています。1970年代に実在したアルゼンチンの連続殺人犯のカルロス・ロブレド・プッチの凶行を描いた作品で、その美しい造形から逮捕後に「死の天使」だ「黒い天使」だと世間を騒がせた青年がいかにダークサイドに堕ちていったのかが掘り下げられています。終身刑で本人は存命中なので、現在どんなふうなのかは検索するとすぐ出てきます。本人がこの映画をどう受け取ったかという記事なども出てきますが、それはともかく。

 逮捕後に人々が驚いたのはその美貌だけでなく、彼に一切罪悪感がなかったことでもあるらしく、劇中でもとんでもないことをし続けながらも澄ました顔。作品全体にもその雰囲気があって、恐ろしいはずなのだが何故か笑えてきたりもする。その欲望の暴走はひとから物をくすねたり借りパクしたりするところから始まるのだけれど、そのせいかレコードにしろ拳銃にしろ、物の雰囲気や存在感がよかった。画面から物欲が伝わってくるような感じ。