本日発売(早いところでは昨日から)、新潮社刊行の森見登美彦さん新刊「太陽と乙女」にて装画と挿絵を担当させていただきました。デビューから14年、エッセイや書籍解説、日記まで収録したエッセイ大全集です。
太陽の塔や四畳半、狸、赤玉ポートワインなど、森見作品を象徴する要素を中心に、たくさんのエッセイの中に出てくるあれやこれやを詰め込んだ賑やかな絵になりました。
ぼく自身学生の頃から森見さんの小説が大好きでしたので、これはもう本当に、只事ではないという緊張感を覚えながらも、楽しくて仕方のない作業となりました。
収録エッセイの中から拾った要素もありながら、全体的には自分で読んできた森見作品への総合的なトリビュートみたいになったかなと思います。
題字は金の箔押しという豪華さ。
「有頂天家族」でもお馴染みの狸は毛玉感を意識。森見さんの作品はイラストの装画も多く、アニメ化もされていて既存のイメージが結構あるので、同じ対象を描きながらも自分の絵にしなくちゃなあというところを、結構考えていたように思います。
レゴ四畳半。
レゴ・ブロックについてのエッセイが、レゴ好きとしてはやっぱりうれしくて共感したので、絵にもちょこちょことブロック要素を入れました。自分も好きなものが登場すると、とことん糸口にしたくなります。
京都の大学生もののお話も好きですが、それらとは少し違ったテイストの「ペンギン・ハイウェイ」もとても好きなので、ペンギンを描けてうれしいです。
絵は後ろ側まで続いています。本当に伸び伸びと描かせていただきました。
中の挿絵も別で描いています。全7章の章扉で7点です。さらに、カバーを外した下にも別個で描いたイラストが使われています。本当に盛りだくさんです。ボリューミーな内容に見合った量が描けていたらいいなと思います。
これはとても感慨深いクレジットの入り方です。まさか並べてもらええる日が来ようとは。いっぺんにいくつも夢が叶いました。
内容も本当に読み応えがあり、ファンにはたまらないエッセイ集となっています。子供の頃の思い出とか、お馴染みのあの作品が書かれた背景とか、日頃どういうことを考えられているのかとか、森見さんのパーソナルな部分も垣間見えて興味深かったです。創作意欲というか、文章を書きたいという気持ちも刺激され、個人的にもお気に入りの一冊となりました。大切に読み返して行きたいと思います。