2019/04/16

「フイナム・アンプラグド」issue 9 「惑星移住」イラスト



 「HOUYHNHNM Unplugged(フイナム・アンプラグド)」issue 9(Rhino編集・講談社刊)の「惑星移住」特集ページにて、見開きで火星都市のイラストなどを描きました。昭和の空想科学っぽいヴィジュアルですが(「火星での暮らしはこうなる!」みたいな)、内容は最新の研究や開発に準じた宇宙入植についてのお話。火星だけでなく、月の洞窟の中や、木星の衛星エウロパの地表を覆う氷の下の海中なども地球人の移住先の候補として登場します。火星の都市は昔から言われているように、地表にドーム型の都市を建設するやり方が考えられているそう。

 この仕事をしていたのはちょうどレイ・ブラッドベリの「火星年代記」を読んでいたときだったので、ロマン溢れる火星世界へのイメージがかなり膨らんでいた。もちろん「火星年代記」における火星はかなり幻想的な世界なので、今回そこまで取り入れることはなかったけれど、とにかく火星という世界観について考えるきっかけになった。

 ちなみにページのノド(左右ページの真ん中、束にあたる部分)付近にある球体が4つ合体して脚の生えたメカは、かつてフォン・ブラウン博士が構想して雑誌「コリアーズ」で発表した月面着陸船、ムーンランダー。高さは約49メートルで、地球軌道上で造船して月に送られる計画だったらしい。そのスケールの大きな計画にクラっとくる。実現しなかったというのがまたいい。地球人の宇宙開発の違うバージョンやルートが存在したかもしれない、なんていう想像も膨らむ。比べ物にならないと思うけれど、ぼくの絵もなにかそういう想像や空想を掻き立てるものになればと思う。