「SPUR」7月号の映画レビュー連載では、ハビエル・バルデム&ペネロペ・クルス夫妻主演『誰もがそれを知っている』を紹介しています。夫妻が扮するのは、今は別々の道を歩む元恋仲の幼馴染で、親戚の結婚式で再会するのだが、そこでペネロペの娘が誘拐されてしまう。犯人は式に参列した親戚や友人の中にいるのではないかと疑われ、脅迫により通報ができないのでハビエルが独自に動く。あんまりがんばるので奥さんからはなんであんたがそんなに一生懸命になる必要があるのとか言われるのだが、それでもがんばる。幼馴染のことがまだ好きだからという単純な理由を見出すこともできるのだが、どこか他人事として済ませられないものを感じているのだろうということがわかる。やがて、ハビエルの知らない秘密が明らかになっていくのだが、映画のタイトルの通り、「誰もがそれを知ってい」た……。小さい街では秘密は秘密ではなくなるのだ。当事者が知らなくとも。というお話。
ハビエル&ペネロペが夫妻だったこと自体、誰もが知っていることなのだろうけれど、ぼくは今回初めて知った。そういえばふたりとも『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出ている。ハビエル・バルデムといえば『ノー・カントリー』のただならぬ雰囲気の殺し屋とか、『007 スカイホール』の悪役が印象的だが、本作では普通のひと。愛すべき平凡な男という感じだが、でもどこかに影があるのがやっぱりらしい。