2019/07/23

「買い物とわたし」中国語版






 週刊文春での連載時から挿絵を担当していた山内マリコさんのショッピング・エッセイ集「買い物とわたし 〜お伊勢丹より愛をこめて〜」の中国語簡体字版をいただきました。漢字とはいえ外国語と自分の絵が一緒になっているとやはり上がります。言葉だけでなく、装丁も独自バージョンで、本文中の挿絵を集めたコラージュになっています。単純に組み合わせたのではなく、丁寧に切り取った上でバランスよく合体させひとつの装画のように仕上がっているのがすごい。バラバラに描いていたものなのでこういう形になると新鮮で、イラストは使い方も大切だなと改めて思います。本文の方でもあちこちの挿絵から持ってきたちょっとした要素をワンポイントで使われたりしていて、自分が描いたものを違った角度から見られます。ましてや描いてからだいぶ時間が経ったものばかりなので、ほとんど初めて見るような感覚。オリジナル版の装画は折り込みページに入っています。

 全ては山内さんから文春での連載のためにイラストをオファーされたのが始まり。毎週お気に入りのものや新たに購入された物の写真をもらい、それを参考に描いていた。テキストで書かれているストーリーと、品物の絵をどういうふうにまとめあげるか考えるのは大変でもあったけれど、楽しさもあり、挿絵を描く基礎みたいなものが作られたと思う(今もまだ作っている最中だとは思うけれど)。それに多くの読者の方同様、山内さんの買うものについて知る楽しみもあった。

 アナログで毎週よく描いていたなあ。そして今回そのアナログ画が、まるでレイヤー分けされていたかのように綺麗に切り取られているのにも感激した。一切アナログで描かないというわけではないけれど、仕事はすっかりデジタルで描いている今、なかなか前のやり方は出来ないけれど、同じようになにか品物の絵を描くことはできるので、自分の持ち物や好きな物をもっといろいろ描いてみようかな。