立東舎より刊行、千葉聡さんの「90秒の別世界 短歌のとなりの物語」で装画を担当しました。歌人である千葉さんの小説デビュー作で、いち見開きで読み切れるショートショートと、そこに添えられた既存の短歌それぞれ100編が楽しめる本となっています。SF的なお話が多いので、このようなカバーイラストとなりました。見た通り好き放題な絵ですが、自分の好き放題が本の世界観とうまく合って、装画として役に立てるのは理想的ですね。誤解を恐れずに言うならば、だんだん自分の絵になってきたような気がする。
帯の色などもイラストの配色に合わせていただきました。本は必ず帯がかかるので、装画は重要なモチーフ(店頭で見せたいもの)が帯より上に来るように考える必要があります。かといって、帯を取ったらなんにもない、では寂しいので、見えても見えなくても絵が成立するものを考えます。今回のように下が透けているようなデザインの帯はうれしい。
カバーの袖も含めてイラストの配色をデザインに生かしてもらっています。自分の絵が本のカバーについているという時点で、本を読む人間としてはうれしいのですが、絵の配色が本全体に行き渡ってるというのはより感動を覚えます。本を作る手伝いができたんだなあと強く実感できます。