今年は誕生日について初めて知ったことが少しある。まず今年の1月に逝去した女優フランス・ギャルが同じ10月9日生まれだったこと。ジョン・レノン、ギレルモ・デル・トロ、秀島史香といった「同じ誕生日のひとリスト」を更新(お前が生まれるよりもずっと前から10月9日生まれのひとをつかまえてなにを言う)。別に同じだからどうってことは全然ないんだけど、しかし不思議と素敵なひとばかりだな。嫌なひとが全然いない。素晴らしい。いや、嫌なひとなんてこの世の中にはいないよ、なに言ってんの。
そしてこれはひとの誕生日じゃないんだけど、10月9日は韓国の記念日「ハングルの日」なんだそうだ。これも昔からそうだったはずなのに今年になって初めて知った。まだまだ自分の誕生日へのリサーチが甘い。世宗大王がハングルの元である訓民正音という書物を公布したことを記念しているそうな。もう日付の縁がある時点でこりゃ勉強しないわけにはいかない。英語、仏語、中国語に加えやっぱり韓国語もぼくの「いつか覚える語リスト」に加わるのであった。いつ覚えるんだか。そもそも将来的には何ヶ国語話すつもりなのか。ハット語とクリンゴン語はいいのか。そもそも母国語さえ、お、おぼつつかなあのに。
韓国語と言えばアニメ「アドベンチャー・タイム」のレディ・レイニコーン。ひとりだけ韓国語を話し、そのセリフには別に字幕がつくわけでもなく、理解できるキャラだけがうんうん頷くだけで済まされるみたいな感じのキャラなんだけど、かなり印象的。見た目は頭がユニコーンで体が虹、だからレイニコーン。しかし見ているとだんだん東洋の龍に見えなくもない。アジア系の設定(?)はそのあたりからかな。要するにR2-D2とかチューバッカみたいに、みんなと違う言葉を話すけどコミュニケーションは取れる、という異種族相棒キャラなんだけど、それを実在の国の言葉でやっているためなかなか賛否もあるらしい。わからないでもない。アジア人は宇宙人でもなければファンタジーの住人でもないからね。とは言えレイニコーンは素敵なキャラだし、そこにはリスペクトや憧れなんかもあると思う。東洋の言葉が英語圏からしたらミステリアスで不思議な響きを持っているのは確かだろう。そういう一方的な幻想視もまた偏見と根を同じくする、ということも当然あるけれど、まあこのあたりは受け取り方次第だからなんとも言えないし、なんとか言うつもりもない。それはそれで覚えておきましょう。レイニコーンのおかげでその言葉の響きに惹かれたひとも多少はいるだろう。ぼくも結構その口だ。そういえば『スター・ウォーズ』ではケニアやインドネシアの言葉かなんかをエイリアンに言わせたりしていて、そこの国のひとたちには普通に言ってることがわかるとかなんとか、そういう話もあったなあ。憧れと偏見というのは表裏一体、切り離せないものなのかもしれないなあ。
ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』には10月9日という日付が大きく映し出されるシーンがある。水路が増水したときに魚人を水の中に返そう、次の増水は10月10日だ、というところで日めくりカレンダーがめくられるんだけれど、前日である9日がめくられる(ちぎられたかな?)わけだ。これを見たとき、あ、やっぱりギレルモ・デル・トロも自分の誕生日の日付が好きなんだなと思ったけど、そのあたりのメイキング事情はよく知らない。自分でその日付を設定したのか、それとも彼に対する贈り物的なニュアンスでそうなったのか。いずれにせよ『シェイプ・オブ・ウォーター』はぼくたちの誕生日と結び付けられる。「ぼくたち」だってさ、笑っちゃうよ。
同じ誕生日のひと、みんなおめでとう。