2018/10/18

SWドラマ『マンダロリアン』


 『アイアンマン』の運転手、じゃなくて監督でお馴染みのジョン・ファブローが製作と脚本を担当する、『スター・ウォーズ』のTVドラマシリーズ『マンダロリアン』。マンダロリアンというのは、映画では賞金稼ぎボバ・フェットとその父親(クローン・テンプレート)ジャンゴ・フェットが着ている印象的な装甲服が代表する、銀河におけるヴァイキング的戦士部族である。ちなみにフェットがマンダロリアンと直接的に関係あるのかどうかは微妙で、特に関係ないのに勝手に装甲服を着ているという大方の解釈らしい。個人的にはそのほうがさすらいの傭兵っぽくはある。ただ、そうなるとジャンゴの遺伝子を元に量産されたクローン・トルーパーや後のストームトルーパーが、マンダロリアン戦士の系譜であるという感じが薄れたりもする。
 
 ジョン・ファブローがインスタグラムにアップした黒字に黄色い文字で書かれたSW的なあらすじによると、『マンダロリアン』はEP6よりも後の帝国崩壊後、新共和国の時代、そしてファースト・オーダーの台頭よりも前、という空白の30年間の比較的自由に創作できる範囲を舞台にするらしい。当然その時代にはジャンゴもボバも死んで久しいので主人公はどうやら新キャラ。ファブローのあらすじによると「A Lone Gunfighter」、すなわち孤独なガンマンだそうで、宇宙西部劇を体現するハン・ソロの宿敵として登場したボバ・フェットの原初的イメージとも重なる。二丁拳銃をくるくるまわしてホルスターにしまうジャンゴ・フェットも言うまでもない(まず名前がジャンゴだもんね)。由緒正しいマンダロリアンキャラというわけだ。

 公開されたファースト・ルックの印象は、個人的には中世ファンタジーのさすらいの戦士といった感じ。茶色い防具がなんとなくああいう世界観の革の防具に見える。キャプテン・ファズマほどテカテカじゃないにせよクローム的なヘルメットも甲冑っぽいし。こいつがフェット親子と違ってマンダロリアンのちゃんとした子孫なのか、それともやはり寄せ集めの装備(右肩当てがスカリフ・トルーパーのものに見える)を身にまとったやつなのかはまだわからないけれど、タイトルから察するに少しはマンダロリアンそのものを掘り下げたり、象徴的に扱ったりはするんじゃないかな。

 ところどころに『ホリデー・スペシャル』や、企画が凍結された幻のゲーム『1313』のボバのイメージが入っている。それはこのイラストの通り。恣意的に色は揃えているけれど、それを差し引いても意識しているのは確かだろう。特に『1313』のコンセプト・アートにおけるボバのルックスに非常に近い。背中に背負っている武器は『ホリデー・スペシャル』で怪獣をひっぱたいていた謎の槍と近い形をしているようだ。そもそもEP4よりも前を描くはずだった『1313』のボバが、EP4後を描いた『ホリデー・スペシャル』のヴィジュアルに少し寄せて描かれた印象があるんだけどね。二つのイメージが今回の新キャラに結実したわけだ。いやあ、それにしてもやっぱりホリスペ版ボバはいいなあ。結局そこか。

 全身に武器やガジェット満載のパワードスーツで空を飛び回るアイアンマンを撮ったファブローが、マンダロリアンのお話をやるっていうのは、結構ぴったりなんじゃないかな。願望を言えば、ボバ・フェットの装備作りに関わって最初に自分で試作品を着用し、後にロケットパックで飛び回るWW2のヒーロー『ロケッティア』を撮ったジョー・ジョンストンにもうにか絡んでほしいところでもある。