ランドスピーダーは至高。基本的にみすぼらしいラーズ農場にあってとてもスマートなフォルム。そこにおなじみの汚れや傷みが施されていて最高にクール。未来カーに見えるのに古びて見える。オリジナル三部作の雰囲気を象徴している。片側のエンジンのカバーが外れているのもとても良い。
「アナキンのエアスピーダー」という名称になっているが、厳密にはアナキンのものではない。パドメを襲った暗殺者を追うときに駐車場にあった中からアナキンが拝借したものである。とは言えアナキンが乗るメカは基本的に黄色い。EP1のポッドレーサーも黄色い部分が際立っていたし、ナブー・スターファイターはあの通り真っ黄色、EP2で乗るこのスピーダー、EP3では黄色いジェダイ・スターファイターに乗る。さらにアナキンでなくなり、ダース・ヴェイダーとなった途端、緑色の戦闘機に乗り込む。この黄色い乗り物のセオリーは、『アメリカン・グラフィティ』の主役車である黄色いホットロッドを思い起こさせる。特にこのエアスピーダーなんかああいうアメ車の雰囲気がある。EP2はほかにも『アメグラ』っぽいダイナーが登場し、足が車輪になったドロイドのウェイトレスは言うまでもなくローラースケート・ウェイトレスのSW版だ。EP2にはところどころジョージ・ルーカスの個人的な趣味や懐古のようなものが盛り込まれているのがおもしろい。
不恰好だがそこが良いレイのスピーダーバイク。廃材を組み合わせた自作。スマートではないがそのかわり馬力を感じさせるインパクトがある。ルークのランドスピーダーを横に倒したような形に見えるが、デザインそのものはEP6時のスピーダーバイク案に同じような形のものが残っているのでそこからの引用らしい。初めてスクリーンに登場した際、レイがまたがってエンジンをかけ、動き始めたときに地面の砂がもうもうと巻き上げられるところが良い。レイが集めた廃材を側面のネットに積み込んだりしているときに地面から浮いた状態で完全に固定されているんだけど、荷物を積むときにちょっと沈んだり揺れたりしたら尚良かった。
実はこの連作はこのハン・ソロのスピーダーを描きたくて始めた。これもやっぱり「ハンのランドスピーダー」という通称らしいんだけど、盗品である。そしてアナキンの乗っていた黄色いのと同様こちらも非常にアメ車的で、プリムスのロードランナーやスターバードの雰囲気。板状のシルエットはのちのミレニアム・ファルコンへの伏線なのか、狭い路地を通り抜けようとして途中で失敗する冒頭のシーンが、あとでケッセル・ランを最速ですり抜けるファルコンの姿へと繋がっていく。ファルコンが船でありながらもどこか「クルマ」的でもあることがわかった。
このスピーダー、カーブを曲がるときに車体が良い感じに傾いてお尻を振るんだけど、メイキングを見ると実際にタイヤがついていて、普通に走行しているのを撮っていたらしい。だから傾き方とか軋み方がリアルだったんだ。リパルサーリフトの反重力で浮いているはずが、タイヤがついている前提の動きを見せるのがまた可笑しい。